子供達に日本語を教えている人は? 国語と日本語の違いは? 日本語教師とは?
日本語教育能力検定試験受験体験談

日本語能力試験2級について

『日本語能力試験2級について』というタイトルのご質問を掲示板に頂きましたので、
これが良いですよ、という主張ではなく、単なる私見を書いてみます。

日本語能力試験ですが、 3級の難易度からみると2級は一気にぐーーんと難しくなりますね。
私は日本語能力試験の受験対策を学習者さんと一緒にしてきて、つくづく2級の壁を感じます。
日本語能力試験は、漢字圏の学習者さんは非漢字圏の学習者さんに比べて、
かなり楽だと言われています。
もちろん学習者さんの個人差がありますが、一般論として私もそう思います。

2級を受験する前に3級があるのですが、 3級の合格点は6割ですから、
3級は『みんなの日本語』の学習で合格できます。
でもたとえ3級に合格したとしても、『みんなの日本語』の内容がしっかり定着しているでしょうか。
3級を受験して、8割とか9割とか取れたでしょうか。
8割、9割取れたとしても、棒暗記でできたというのではなく、
きちんと理解できて日本語が身体に沁み込んだ結果、取れた点でしょうか。
最近、私はそれがとても大切だと思うようになりました。
3級を6割ぎりぎりで合格した人で、翌年2級に合格するのは なかなか難しい場合があります。
もちろん、日本語学校で毎日勉強している人とか、非常に熱意のある人とか、
ずば抜けて語学の素質がある人とかは別の話ですがーーー。

私は、母国で何年も日本語を学んできたという学習者さんで、
3級の内容が、完全には理解できていない人に何人も出会ったことがあります。
日常会話はかなり上手な人でも、2級の壁は甘くありません。

今回のご質問の内容は、3級は飛ばして直接2級を受験する場合、
要領よく勉強するには、ということかなとは思いますが、 その場合でも同じです。
基礎が大切だと私は思うのです。

2級の受験対策に入ると、未習の文型がどーーーんと出て来ますが、
私は、これは正攻法でこつこつ学習したほうが良いと思っています。
4級、3級までは、「これが出ますよ。覚えてください。」と 言えるのですが、
2級、1級は、もうそれが言えません。
試験の範囲はあるにはあるのですが、事実上範囲なしの試験だと思ったほうがいいでしょう。

『急がば回れ!』『千里の道も一歩から』です。

2級の文法となると教える側も大変で、学習者さんの疑問を、
常に明快に説明できるよう、教える側の努力も必要となります。
私はいつも苦労しています。

個人差がありますが、試験の中で長文読解が一番たいへんなのではと思います。
でも、漢字圏の学習者さんにとっては、漢字の意味がわかりますから、
非漢字圏の学習者さんと比べれば、楽ではあるでしょう。
漢字圏の学習者さんは、意味がわかるからと、ついつい日本語の漢字の読み方の学習を
おざなりにしがちだとも言われていますが、そういうこともあるでしょうね。

長文読解の問題は、まず辞書を使わず、意味不明の言葉があっても
できるだけ意味内容を汲み取る練習をして、 それから辞書を使い読み込むようにします。
長文を読みながら、語彙・文法・漢字の既習部分を復習し新出部分を導入します。
定着するまで根気よく繰り返すことですね。
それと日本人のものの考え方を理解していくーーー。
社会的背景とか、日本の抱える問題とかを解説するのも教師の役目です。

2級の問題集にある長文読解問題ができるようになれば、 ほぼ、合格できると思うのです。
語彙が豊富になれば、聴解も楽になります。

結局は、基礎学習をしっかり学習することと、
こつこつ一歩ずつ学ぶしか方法はないと思います。
2級受験の段階でしっかり学習しておけば、1級もそれほど難しくなく 合格できるでしょう。

しかし、語学にも素質といったものがあって、
あれよあれよという間に1級に合格した学習者さんもいれば、
簡単に3級に合格したために、基礎勉強を怠り、
2級で何回も不合格になった学習者さんもいます。
文法が嫌いな人もいれば、文法大好きな人もいます。

人それぞれだとは思いますがーーー。
                                              2003/ 8/15 記



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