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1. |
「他」と「別」のちがい 基本的なイメージとしては、
「他」…「外」という漢字も当てはめるように、
「ウチ」に対する「ソト」。つま
り、基準になるものを除いた、残り。
図にすると(描けませんが
、ドーナツの真ん中が「ウチ(=基準になるも
の)」、
周りにぐるっと「他(=ソト)」があるような感じです。
「別」…ある基準があって、それと比べて「ちがう」と認められること。
この「ある 基準」をAとして図にすると、
[A]←→[別]
こんな感じでしょうか。
そして、 「他」:「個(ウチ)」対「多(ソト=他)」、
「別」:「個」対「個」、
という対立関係が
あるような気がします。
ただ、これはあくまで基本的なイメージ
で、
個々のケースを見ると必ずしも全部が当てはまるわけではないかもしれません。 |
2. |
「他の人」「他人」「別の人」「別人」のちがい |
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○ |
「他の人」 |
: |
基準になる人(以下「A」)以外の人。不特定多数になることも多い。
上の考えでいくと、「A」=「ウチ側の人」になります。
ですから、特に指示がな
い場合には、「A」は話し手自身や聞き手など、
「自分に近い人」になることが多い
と思います。
例 |
: |
「もっと他の人のことをよく考えないと。」 |
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「他の人は口を出さないでください。」 |
また「他の人」が不特定多数の場合は、
「別の人」では置き換えられませんね。 |
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○ |
「他人」 |
: |
(1)「他の人」と同じ。
(2)親族・親類ではない人。
(3)自分と何の関係もない人。 辞書(『新明解国語辞典』三省堂)より
これは、(2)(3)は、 「ウチ」と「ソト」の意識が強く出た意味だと思います。 |
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○ |
「別の人」 |
: |
Aとはちがう人。
「他の人」との違いは、「別の人」は不特定多数の場合には使えないこと、
Aが「自 分」以外の人の場合が多いこと、あと、「別の人」と言った場合は、
一人をイメージ することが多いように思います。
もちろん、「別の人」=一人、ではなくて、
例えば 「よくわからないから、別の人にも聞いてみて」などでは、
一人とは限りませんよ
ね。
こういう場合は、対立する線がいくつも出ているのではないか、と思います。
つまり図にすると、 |
[別] |
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↑ |
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↓ |
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[別] |
← |
→ |
[A] |
← |
→ |
[別] |
というような感じでしょうか。 |
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○ |
「別人」 |
: |
「別の人」と基本的には同じ意味ですが、「別人」は
ある特定の二人を比べているように思います。
つまり、「AさんとBさんを比べて見ると、BさんはAさんとはちがう人だ」
という ような感じです。
ですから、比べる相手が特定されない場合は使えませんよね。
例 |
: |
「誰でもいいから、(○別の人/×別人)に頼んでください。」 |
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3. |
日本語学習者への指導 あくまでも、もし私ならどうするか、と考えたことを少し。
まず、「だいたいは同じ意味で、入れ替えできる文が多い」ということを伝えます。
それから、「でも、イメージ的にはこういう違いがあります」という感じで、
図を描 いて大体のイメージを伝えます。
そして、「他人」については、(2)や(3)の意味もあるので
注意するよう促し て、例文を挙げます。
自分では使わない方がいい、と言ってもいいかもしれません。
「別人」については、使い方がある程度限られるので、
「あの人を後ろから見て、Aさんかと思ったら別人でした。」など例文を挙げて、
覚 えてもらったらいいのではないかと思います。
「他の人」と「別の人」については(これが一番厄介だと思うのですが)、
比較的 ハッキリした「ちがい」としては、
「別の人」は不特定多数には使わない、
ということくらいだと思うので、入れ替えの
できない例文を示して、理解してもらいます。
ほとんどは入れ替えができると思うのですが、やはり基本的なイメージの違いは、
図を描いてつかんでもらった方がわかりやすいのではないでしょうか。 |